プールサイドの攻防戦

スポンサーリンク

 プールは魔物の巣窟だった。

  先日、午前に海へ行き、午後にプールへ行く苦行を行った。当初の予定では海だけだったが、海開きはしているのに客が少なく屋台もなかった。子供達は海のままでいいと主張していたが、海は危険がいっぱいだと意味不明な主張と父親権力を思う存分発揮してプールへ移動した。逆にプールは人が多すぎて分散しろよお前らと思っていたがそのお前らの一部になっていた。

 

 私にはいくつかの目的があった。子供達の思い出作りという名の夏休みの宿題である夏の間の思い出感想文を事前に体験させる目的。小学高学年でありながらスイミングスクール特別級の長女にカナヅチの次女へ泳ぎ方を教えさせる目的。嫁を一日でも育児から解放させる目的。そんな目的は表向きであり、真の目的はウェーイ系ギャルビキニ美女を拝見する目的だった。その目的達成には海では不十分だった。

 

 プールでは私以上に泳げる長女が真面目に次女へ泳ぎ方を教えていた。教える側も普段自分では気付かない力の抜き方入れ方を学べ大変いい経験だろう。と、嫁への報告をメールで済ませ、年に数回しか使用しないサンバイザー越しにプール全体を見渡す。そこに桃源郷は存在していた。

 

 『パンツじゃないから恥ずかしくないもん!』と名言を残したストライクウィッチーズのように、下着じゃないから恥ずかしくないもんと言わんばかりのビキニ美女の集団を発見した。そもそも下着と水着の違いは何なのか、素材による水分の切れの違いなのか、デザインの違いはさほど感じられない。そして、そのビキニの上に半透明なビニールレインスーツみたいなものを着ている意味がわからない。

 

 どうやらビキニ美女集団はそれ相応のウェーイ系イケメン?な男どもと一緒にきているらしい。その集団は遠くなので話し声は聞こえないが何やらもめている。どうやら私の彼ピッピと仲良くしないで的な内容のようだ。それなら何故二人きりでこないのか、グループ交際的な何かなのか。別の場所では叶姉妹みたいな二人のビキニ美女が声をかけてこい、さぁはやくかけてこい、とドヤ顔で歩いているがいい感じにスルーされている。また別の場所では若い夫婦が子供連れできていて、子供がいるのに奥様がやたらセクシーなビキニを着ていてこれもプレイの一種なのかと思ったり。さらに別の場所ではたぶん高校生らしき集団が水着姿の友達?を見て鼻の下をのばしている。

 

 そんな桃源郷の一部始終をさりげなくサンバイザーを有効活用しながら拝見していると、控えめに表現してもかなりのお歳であろう元美女っぽい人がビキニを着ていたり、誰に何をアピールしたいのかを知りたい。桃源郷だと思っていたが地獄郷だった一面も見えてきた。

 

 屋台では金賞のカラアゲ店の二つが対面に配置されていて火花を散らし、かき氷店では複数ある中で同じような内容なのに値段が高い店に行列ができていて、理由を知りたく近づいてみるとレジのお姉さんがめちゃくちゃ可愛かった。で、ついでに並んだ。焼きそば屋の兄ちゃんがやたらうるさい。悲壮感漂う年配者が暗い表情の串カツ屋。

 

 帰る際にシャワーを浴びようとシャワー設置場所に行くと有料らしい。仕方なく金を払おうと値段を見ると30秒100円。最後の最後で連コインを求められたのが一番の地獄郷だった。