定時までの時間が退屈で仕方がない

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避けられない未来は目の前まで迫ってきている。

  先日、未来ある若者から退職願が提出された。未来ある若者と言っても20代後半だが、仕事を一通り覚えて自分で独自の仕事スタイルを追求していく矢先の出来事だ。去る者を追わず…と言いたい所だが、無駄な抵抗だと思いつつ事情を聞いた。『新しくやりたい仕事を見つけ、この機会を逃すと年齢的に厳しくなっていくから』とのことだった。

 今期の営業成績が過去50年間で最も悪く、単純計算では500万円ほどの赤字らしい。そんな大切な計算を単純計算で語る経営者の嘆きを聞き流し、隣にいた仲の良い経理担当者に確認をしたら、『誇張はしているが概ね間違いではない』と予想はできた答えが返ってきた。

 前職は分かりやすいブラック企業で、1日の労働時間が12時間を超えるのは当たり前で、日勤と夜勤の交代制だが、日勤の私が夜勤の人間が昼休憩(昼ではないが)まで仕事をして引き継ぎ業務を行うのが日常茶飯事だった。だが、給料は良かった。今の会社で10年以上働いているが、前職と今とでは給料はほぼ変わらない。しかも、今は平社員ではなく責任ある役職になっているので、役職手当も含めた金額で前職と同じぐらいだ。今考えてみると、前職は仕事量に対して、単純な機械的処理能力と人員不足。早い話が仕事がありすぎた。有給休暇も消化出来ず、ひたすら仕事をこなす日々だった。今はどうだろう。夏場は業界全体が閑散期なのを加味しても、定時で帰宅する毎日だ。残業をするほどの仕事がない。ホワイト企業と言えば間違いないのだろうが、単純に定時を過ぎても会社にいる必要性がないだけだ。

 若者の『やりたい仕事を見つけた』は、本音だろうか。昔からやりたい仕事があり、夢を捨てきれないなど前向きなら良いのだが、この先の未来がある会社とは思えないので辞めますが本音ではないだろうか。500万円の赤字は、例えば新しく機械を購入したから、新しい事業を展開したから、今を乗り越えたら明るい未来がある。ではなく、ジリ貧そのものだ。

 一昔前は県や市からの仕事、国からの仕事の割合が多く、利益率も良かった。今は電子入札が主流で、入札条件で同じ県内にある会社、ISO個人情報保護取得などがあるが、それでも入札に参加できる会社が大幅に増えた。極端な話、本社でなくてもいいし、事業を実際に手掛けてはいないブローカーでも認められている。談合などの不正取り締まり強化、経費削減、それらが原因で時代に沿ったシステムだとは思う。しかも、毎年必ずある定期的な仕事は、去年の入札金額が公表されているので、どの会社も去年を下回ろうとする。それが年々積み重なっていき今では赤字覚悟で国からの仕事を行ったという実績だけの為に落札されていく。私の本業は営業ではないが、社内で業務の垣根を作っている場合ではないので見積もり作成をよくするが、入札金額が材料費を下回ってるとしか思えない。普通はそれに営業費を上乗せするので相当な赤字だろう。資材屋や機械メーカーに問い合わせて聞いてみたが、卸値はほぼ変わらないらしい。強いて言えば、大量発注をして年単位で購入をすればもう少し安くなるらしいが、在庫管理が困難を極める。

 よく十年一昔と言うが、10年前から仕事の内容は変わらなくても世間が変わった。国からの仕事だけではなく、大企業の仕事からの仕事は数年で必ず担当者が代わり、それに伴って仕事の継続はほぼない。国、教育機関、大企業、研究機関、あらゆる分野からの仕事が成立しなくなってきている。企業努力という名の下請けイジメをして誰が先に死ぬかのチキンレース。不正はないが、不整だらけだ。

 状況を打破する為にも念入りに下調べをして、新しい事業展開を提案したが却下された。理由は2つで、初期投資の費用が出せない(銀行からの融資が出ない)、利益の確保が確定されていない。継続的な利益の確保の見通しは五分五分なのは下調べの段階で分かっていたし、初期投資もそれだけの資金があるならボーナスや給料の上乗せをするべきだろう。そして、下手をしたら会社に止めを刺してしまうだろうと提案する前から分かるので強くは提案できなかった。これも予定調和の一つなんだろう。10年以上も同じ仕事をしていると目新しい出来事もなく、良くも悪くも普通に仕事をこなしてしまう。サプライズはなく全てが予定調和。また今日も定時までの時間が退屈だ…

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